ではでは 造海城2の続きと参ります。
その前にこれは余談です。
一般的に山城巡りのベストシーズンは冬と言われています。
冬は葉が枯れ落ちて視界が開けることによって遺構の全体が見渡せます。
また、下草に阻まれていた遺構の奥まで突撃が可能なのはこの時期に限られます。
それに変な虫に刺されて痒い思いをしなくて済むの大きいですかね。
紹介している造海城への訪城は2月、冬枯れの都内から東京湾に沿って房総半島を南下すると、木更津を過ぎた辺りから落葉の景色が減り始め、代わりに常緑樹の森が増えてきます。
そして造海城の辺りではすっかり常緑樹の森に変わってしまいます。
空っ風で寒く乾燥する関東平野とは異なる温暖な気候を表すような植生ですが、これが同時に他の坂東の城郭とはガラッと雰囲気を変える要因にもなっています。
さてさて、本題に戻りまして3回目は青いラインに沿っての紹介となります。
訪問から1年経ってますが案外と走破ルートは覚えているもんです。
造海城2の最後に紹介した土橋状尾根を進むと脇に土塁を伴った小郭に至ります。
更に尾根の先端を目指しますが・・・この先は上を見ないで足元を見て進んで下さい。
尾根が切り通しでスパッと分断されてます。 落ちたら怪我しますよ。
手前ギリギリまで下草が邪魔して切り通しが判らないという恐ろしい仕様。
その切り通しに回り込みます。
堀切と言わずに切り通しと表現したのは造海城の遺構とは無関係に思えるから。
余談ですが 石段がいい味出してます。
造海城と無関係と言える根拠は3つ。
モルタルで均したような痕跡がある事。(扉でも付いていたのか?)
法面が灯籠大師のトンネルと同じ様な加工である事。
城郭遺構の「堀切」と考えると防衛的な造作がない。
そんな所でしょうか。結構新しい切り通しだと思いますね。
それでも、お気に入りの場所の一つ。
切り通しの先にあるこの石積み遺構も造海城との関係性に疑問を感じさせられます。
他の石積みとは異なり妙に整っているんですね。
後世に造られた神社か漁業用の何かの施設の跡ではないかと妄想したのですがどうなんでしょうかね?
切り通しを抜けて井戸のある郭に向かって進みます。
岩盤切岸に沿って進む形になります。
井戸まで辿り着きました。
周囲を岩盤切岸によって囲まれた郭になります。画像正面上が土橋状の尾根になります。
井戸の様子。だいぶ埋もれてますね。
場所を変えまして、造海城の北端に向かいます。
削り方が切り通しとは全く異なる荒々しさ。 これは遺構と判断して良いかと。
堀底を進むと 何かが泥浴びをしたような跡を発見。・・それもさっきまで浴びていたような感じなんですね。 これはイノシシの仕業ですかね?
実は造海城訪問中、何かが藪をかき分ける音が絶えず聞こえていたんですね。
音源はこちらとは絶妙な距離を保っていうようで遂に姿は現さなかったのですが、心配な方は熊除けの鈴を持って訪城された方がいいでしょう。
岩盤開削空堀が造海城の遺構と判断できるもう一つの根拠として、岩盤上部に残る石積み遺構の存在があります。
これは防衛的な意図で造られたものと言っていいでしょう。
空堀を更に進むと、貯水池があります。
これも岩盤を掘り抜いて造られています。
更に進むと岩の虎口があります。
その先は下段の郭になってます。
虎口を下って見上げた様子。
ここが造海城の冒頭で紹介した苔むした石段遺構になります。
先ほどの岩盤空堀とは岩の加工精度が比較にならない程高いのが判ると思います。
従ってこの石段も造海城の時代よりだいぶ後に造られたものと思われます。
そうは言ってもこの景観は他ではちょっと見らえないでしょう。何度も登り降りを繰り返しては写真を撮ってしまいました。
石段の先、やはり造海城とは関係のなさそうな石積みの基礎のような物。
祠のような物が建っていたのか・・・
基礎跡のある郭から土の切岸面を強引登攀して上段の郭に到達。
この辺りは、山の斜面を段々に均して広い平坦地を確保しています。
2の郭に向かいます。
削り出しの岩壁と石積による虎口。動線を90度折りこんでます。
少し記憶が曖昧なんですが2の郭の虎口付近の画像です。
ここでも岩盤を削り出して郭の防禦性を確保してます。
ちょこっと海が見えたので撮影。
こちらは3の郭内部の様子。 造海城の最高所の尾根を利用して造られています。
かなりの広さを確保されていますね。
ここで初めて日当たりの良い所に出ました。
一旦土橋状に幅をすぼめてから4郭(主郭?)に至ります。
主郭は藪々の為画像は省略します。
帰りにトンネルを一枚撮影。 早朝と違って観光客で賑わっています。
これでも人が少ないタイミングを待って撮影してるんですが・・・
ここは早朝に行って正解。(この画像の撮影は10時半頃です)
所要時間 3時間
造海城の評価は 5 とさせて下さい。
いつもならクドクドと書く縄張りやら虎口のウンチクは今回に限っては控えめになりました。
ここ造海城は縄張りのギミックを見るよりも、全体の遺構としての雰囲気を楽しむのが最良かと。
岩を砕いて造られた遺構群はこの地域特有なんでしょうかね、俄然房総の城に興味が深まった造海城でした。
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