ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

名胡桃城 再訪(群馬県 利根郡 みなかみ町)

名胡桃城
 
訪問 2017年 9月
 
駐車場 有り
案内板 有り
 
 前回の記事にあるように現在ブログの更新頻度はややトーンダウンしております。 
 なるべく軽めのお城紹介に留めたいと思いながらも今回はなにゆえか群馬県みなかみ町にある「名胡桃城」を取り上げてしまいます。
 
 名胡桃城は天下統一目前の豊臣政権と小田原北条氏との全面対決への契機となった「名胡桃城事件」で有名な城郭。
 細々説明するのは労力を要するのでその辺りはリンク先を参照して下さい。
 
 ここ、実は7年前の2010年に一度アップしてますがその頃の名胡桃城は来る人もまばら、マニアが訪れる城郭遺構に過ぎませんでした。
 が、この7年の間には例の大河ドラマの影響など真田ブームが起こり、ゆかりの城郭も各地で観光客向けに整備が進みました。(ついでに7年歳を重ねた訳ですが・・)
 
 ここ名胡桃城もリニューアルされたと聞き、どんなものかと別の城郭を訪問した帰りに立ち寄った時の模様です。
 
 当時との変化を中心に紹介しますのでショボい2010年の記事をサラッと見てもらうといいかもしれません。 当時のはこちらを。
 
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本郭跡に建つ名胡桃城之碑
 
場所は以下のURLを参照して下さい。
 

 
月夜野ICを降りて国道17号を走ればもう名胡桃城です。車での訪城にはすごく便利な立地。
 
 蛇足ですが「名胡桃」という地名の響きが昔から好きでしてね。
小説家の半村良氏が書かれた「飛雲城伝説」という未完の大作がありまして、物語の舞台となる架空の地が胡桃野という設定なんですね。
 この名前は名胡桃からヒントを得たのではないかと密かに疑っています。
 
 
イメージ 2
以前も掲載しましたが城郭大系掲載の名胡桃城縄張り図です。
 計画中の道は現在のR17号。
名胡桃城は河岸段丘面を利用し3方を際しい崖地形、残り1方のみを台地と地続きの立地を利用し築城されています。大変攻め辛い地形ですね、更に侵食谷挟んで般若郭という独立した郭を従えています。
 
 
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般若郭は7年前と変わらず駐車場として利用されています。
 
 
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般若郭の説明板も設置されています。 ここはただの駐車場じゃない事をもっと知ってもらえそうですね。
 
 
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国道沿いの幟旗は変わらずですかね。
 
 
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国道沿いには立派な碑も建ちました。ここは縄張り図の馬出し手前付近。
 
 
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 埋没した丸馬出しは舗装で位置のみを示しています。 
これも前は無かったような気がします。
 
 
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そして最も変わった点がこれ、土塁の復元でしょう。これで城らしさがぐっと高まっております。
 以前の名胡桃城の遺構は廃城後の耕作地化の過程で邪魔な土塁が破却されたままの状態で、この入口からず~と奥にある本郭まで全て見通せるという城としてはあり得ない仕様になってました。
 
 
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空堀に掛かる木橋の復元もなされています。
 
 
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虎口の食い違いもこのように再現されています。 そして脇にはその詳細な解説板まで設置されて・・なかなか好感が持てる復元工事です。
 でも、土塁はもうちょっと嵩があったと思いますが・・・
 
 
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その内容。
 単に観光客誘致を目的とするならもっと重機でざ~と土を均して適当に見栄え重視のオブジェでも造りそうですが ここ名胡桃城の復元はかなり誠実になされています。
 
 
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更に先、2郭内部から本郭方面を撮影。
 正面にはやはり復元された本郭方面への虎口遺構があります。
 手前、平場に色分けされた空間は建物跡の表示。
 
 
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接近して撮影。 土塁開口部(虎口)脇にあった櫓台跡も再現されています。
 
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櫓台上から虎口内側を撮影。
 動線がL字に折れて木橋に続く様子が良く再現されています。
 
 
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木橋奥にある本郭内部の様子。
 ここは7年前とさほど変化がありません。 今回割愛しましたが解説板が増設されている位です。
 
 
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本郭より更に先端側に位置する ささ郭に向かいます。
 この堀切を渡す階段も7年前には設置されてませんでしたね。
 こんな階段を堀切に渡したら遺構が改変されるのでは・・と思ったのですが詳細に下部を観察するとこの階段は地面から少し浮かしているんですね。
 つまり元の遺構には極力手を加えない配慮がなされています。
 
 
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 ささ郭に残る貴重なオリジナルの土塁ライン。
 
 
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笹郭の先端にある祠。
 六連銭型の御賽銭の置き方は真田氏ゆかりの史跡ではどこでも見られますね。
 
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ここは崖先端に位置するので素晴らしい眺望。
 明徳寺城が正面にあるのでこの後訪問してやろうかと思案中に撮影。
 
 
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 そして、周辺の城郭との位置関係です。
 明徳寺城は結局場所が判らず訪問を断念してます。
 

名胡桃城の評価は 4 とさせて下さい。
 
 ここは城そのものよりも歴史的大事件の現場という評価要素が高い城郭ではありますが、遺構もなかなか良い物を持っていますし整備や展示の方針には好感が持てます。
 今どきなんちゃって天主閣など建てる行政はないとは思いますが可能な限り当時を再現しようという姿勢には頭が下がる思いを感じます。