ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

笹尾塁 (山梨県 北杜市)

笹尾塁
 
訪問 2017年12月
 
駐車場 有り
案内板 有り
 
 単発で山梨は北杜市にある城郭の紹介です。
 
 前回紹介した水番城では訪問中から天気が崩れ始め、城を降りる頃には本降りの雨となり城巡りには最悪の天候になってしまいました。
 12月の雨ではいつ雪に変わるかもしれず(車はノーマルタイヤ)帰宅困難に陥ることも考えられたので1城訪問だけで撤収することに。
 
 帰路の途中、日没前にやっと降りやんだのを幸いに急遽 最寄の城へ立ち寄ることにしました。
 それが今回紹介する笹尾塁になります。 
 
 笹尾城とも書く事があるようですが今回は一般的に呼ばれる笹尾塁の呼称を用います。
 
イメージ 1
 笹尾塁1郭より南アルプスを望む
 
 笹尾塁は八ヶ岳山麓が山梨は韮崎市まで延びる断崖絶壁の河岸段丘(七里岩)面に築かれた崖端城の立地。
 更に城の両側は侵食谷によって台地と分断された天然の要害地形になります。
 ちなみに崖面をそのまま南下すると武田勝頼が築いた新府城に行きつきます。
 
場所は以下のURLを参照して下さい。
 

 
 
金毘羅神社右下の標高759m地点が笹尾塁。
 
イメージ 2
案内板に従って右に折れます。
 
 
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先に進みますと広い駐車場があります。 トイレ付で有難いのですが・・知名度の低い笹尾塁にここまでの駐車場が必要とは思えないのですが。
 
 
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駐車場の奥には空堀を挟んで土塁があります。
早速 お邪魔します。
 
 
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土橋を渡りつつ空堀を撮影。 保存状態は良好。
 
 
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縄張り図と案内板はここにあります。
 先の道路分岐が6の郭付近で、3郭がまるごと駐車場に改変されていますね。
 つまり2郭と崖先端の1郭のみが整備されている状況になります。
 
 
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案内板の脇にある立ち入り禁止の看板・・ ここまで来てスゴスゴと撤退は勿体ない、と言いますかそんなに危険があるとは思えず。
 
 
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 危ないと思ったら撤退という事にして探索続行です。
こちらは2郭土塁線の状況、荒れてませんか?
 
 
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2郭内部の状況。 一見してそれと判るほど土塁面の表土が流れて石が露出しております。
 ネットで調べた笹尾塁は鬱蒼と木々が茂っている画像ばかりが出てくるので、現状との落差にしばし茫然。
 
 
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 伐採はごく最近に思えます。
 樹木がなくなった事により直接風雪に晒された土塁が溶け出しているように思えます。
 
 土の城に於ける樹木の伐採整備には以前から反対でしたが、理由はまさにこれ。 遺構の風化が促進されるから。
 
 
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石碑の両側だけは辛うじて難を逃れてます。 倒木の危険ってこれの事?
 
 
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虎口もグズグズになりつつあります、勿体ない。
 
 
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1郭先端部から全景を撮影。 ここの土塁かなり心配。
 
 
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気持ちを切り替えて 1郭先端から南アルプス方向を撮影。
 眼下は七里岩台地の断崖絶壁という要害地形。
 
 
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一旦 駐車場に戻ります。
 そういえば 縄張り図によればトイレ背後の森は4郭になるはず。
 
 
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道路に沿って歩くと4郭に入れそうな所があります。
 これはもしや堀切の跡。
 
 
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やはり堀切、この辺りの郭は整備事業から見放されていたのか、そのおかげで遺構が残されています。
 
 
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4郭側から堀切を挟んで5郭側を撮影。
 やっと山城に来たという感じがします。
 
 
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堀切を渡り5郭側に登って撮影。
 堀切は土塁を掻き揚げた物でした。
 
 
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土塁を降りて5郭内部を撮影。
 左手に土塁? 右手は侵食谷の要害地形。 奥は先ほどの道路ですね。
 
 
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侵食谷側を撮影、天然の水堀兼水源と言った所ですかね。
 
 
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道路側から5郭内部を撮影。 
 郭内が丸見えな訳がないので当時は何がしかの防禦が施されていたのでしょう。
 
 

笹尾塁の評価は 2 です。
 
 笹尾塁の現状は大変に残念な事になりつつあります。史跡の保護というテーマを今一度考えさせられる遺構です。
 
 同じ様な崖端の立地で規模も良く似た城郭に群馬県の名胡桃城がありますが、こちらは真田氏ゆかりの城・名胡桃城事件という歴史上の舞台となった城、という事で知名度もありそれなりの観光客が見込めます。
 
 つまり投下した整備事業費がペイできるお城ですね。
 
 しかしここ、笹尾塁にはそのような華々しい歴史は残されていません。
 
 これでは遺構の整備に資金投入しても回収できない、むしろ遺構が土地開発の障害になりかねません。
 
 こと笹尾塁に関しては、大型の駐車場整備の必要性が全く感じられないのですが・・遺構を壊して整備する位ならむしろ郭に史跡の看板掲げる位に留めておくのが妥当に感じます。
 
 なんとか遺構を利用できないかと考えて、結局遺構の保護もできず投下した資本も改修できず・・そんな痛々しい状況が想像されます。