ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

埴原城 (長野県 松本市)2

 

ではでは早速 埴原城の続きと参ります。

 
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 いつもの事ですが 前回掲載の縄張り図に再び登場してもらいます。
 
 
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 後半部分を紹介する今回のルートは赤線部分です。
 本郭の№11 辺りからスタートし、本郭搦め手側の防禦地形を見てから折り返し、西側の細尾根上に構築された郭群を見て、最後に古墳を見学しております。
 北側の尾根に広がる郭群は今回日没が迫ってきた関係で見られていないです。
 
 
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では こちらが本郭内部の様子です。
 他の小笠原氏の城郭と同じく本郭と言ってもこのようにささやかな面積に過ぎません。
 それにしても内部に岩が多いんですね。
ちなみに画像奥が山上側(搦め手側)になります。この方向だけ土塁をひと際高く厚く造作している点も全く同じ仕様です。
 
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案内板は既に文字が消えしまっております・・・
 
 
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 自然石にしても妙に角が立っております、石積み用に削られたんですかね?
 
 
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 本郭を奥まで進み土塁を撮影。 手前の低土塁には石積みの名残と思われる石が半ば埋没した形で残されています。
 
 
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先ほどの本郭奥側の高土塁上から本郭全景を撮影。
尾根上に造られたので東西に長く南北には幅狭の形をしております。
 ちなみに、本郭は風が吹き抜けて「とんでもなく寒い」。 尾根筋で標高も高いからですかね、ここで寝起きするのは拷問に近いかも、下の小郭の方がまだ過ごしやすそうに思えます。
 
 
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同じ土塁の撮影地点より本郭北西側を撮影。
 搦め手方面から延びる堀切は北西側で竪堀に変化していきます。
 ここが凄まじき規模で掘っており土の城の醍醐味が味わえます。
 
 
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本郭を外側から観察してみる事にします。
こちらは本郭南側に設けられている虎口。
 周囲の石積みは崩落が進みあまりはっきりとは残っておりません。
 
 
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 同じく本郭南側に残る石積み。
この辺りの石積みは大変良い状態で残されています。
 
 
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 石積みに接近して撮影。
 
 
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引いたアングルで再度撮影、ちょっとしつこいですかね?
 石積みが一部2段で構築されています。
 
 
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 本郭を後にしまして 山上の搦め手側に向かいます。
これは12側から見た本郭側の土塁です。
 本郭側はかなりの高さを稼いでいた土塁ですが、裏側からはさほどの高さもなく障壁としての役割を果たすには心もとない感じですかね。
 
 
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 同地点から反対側を撮影。
まとまった面積が確保された郭があります。 実はここが本郭の役割を果たしていたのでは?
 
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12のあたり 巨大な堀切の手前で振り返って撮影。 画像右側が堀切になります。
本格的な土塁も巡らされており、ここが搦め手側の防禦の要に思われます。
 
 
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途中の模様は省略して何とか堀切斜面を降りきって振り返えり撮影。 
無理やり斜面を降りてきたので途中撮影する余地は全くかったですね、ここはちょっと危険を感じる程の凄まじい堀切です。
 
 
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13の辺り
尾根両脇に残るはこれも見事な畝状竪堀群。 ここ、埴原城に行ったなら必見だと思いますよ。 
 
 
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 畝の一つ一つがビックサイズ、地面がモコモコと波打っているのが判りますか?
畝状竪堀は斜面から迫る敵の横移動を阻害する為と聞いておりますが、確かにこれなら畝の底面を真っすぐ登るしかないでしょうね。
 
 
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さて13から14にかけては、 両側に緩斜面が続く尾根道になります。
 尾根道(画像左手手前から右手奥)は尾根に沿って「堀底道」が構築されています。
 
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 その堀底道の様子。 底に降りると両側の様子は判りません。
 
 
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14の辺り 堀底道の末端部より振り返って撮影。
この堀底道なんですが、堀というよりも「塹壕」と言った方がいいんじゃないかと思えました。
 尾根沿いを郭で守るには尾根面を平に地形を馴らして空間を作って両側に土塁や石積みで固めるという工事が必要。 
 が、これなら尾根に沿って掘るだけで済み時間と費用等を抑えられます。射撃陣地としてもそれなりに機能しそうですし。
 
 
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 さて14の辺り、塹壕の切れ目にある 「水の手」 石で周囲を組まれています。
こんな所まで水源を確保しています。
 
 
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15の辺り、
これも塹壕線の一部か、斜面に堀状の溝が伸びています。 現状はかなり浅いです。
先ほどの堀底道とは規模が違うようですが正確な用途はちょっと判断つきませんでした。
 

 
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さて場所を移動し 16の辺りです。
2重堀切を通過して、西側尾尾根の郭群を見て行く事にします。
 
 
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 2重堀切を手前側から撮影。
この先は尾根沿を削平しにして、所々堀切で遮断する構成が続きます。
 
 
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17の辺りです。
 こんな具合に尾根群はほぼ一直線に伸びています。 手前に仕切り用の浅い堀切があるのですが・・判りますか? 
 
 
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 その先も同じ様な光景が続きます。
両側の斜面も比較的緩い勾配で敵が登るにはさほど困難とも思えない地形。
 いざとなったら2重堀切の線から先は切り捨てるつもりだったのか?
 
 
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18の辺りです。
支尾根に降りまして、埴原城1の冒頭に載せたパンフレットにあった古墳を目指すことにします。
 何とも頼りない道と途中にある獣除けのフェンス。ここは針金で固定してあるので開け閉めに少々手間が掛かります。
 
 
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降りて行きますと、道がだんだん怪しくなってきました。
 
 
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 猛烈な竹藪を抜けると神社らしき空間に出ましたが・・手前にあるはずの古墳が判らなかったので引き返す事にします。
 
 
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 で、神社裏手に古墳らしき土盛りを発見。 神社の裏にあるし多分これが古墳だと思います。
 
 
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 神社を過ぎると、下の集落が見えてきました。 ちょっとホットした瞬間ですかね。
 
 
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 やっと戻ってきました。
 場所は県道63号から蓮華寺さんに向かう途中です。
道の脇には埴原城入口の標柱がありますが、ここから登る人っているんでしょうか?
 
 
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 車を停めた蓮華寺さんまで戻る事にします。
画像奥の山が埴原城の遠景になります。
 
 
所要時間 3時間半

埴原城の評価は 5 とさせて下さい。
 本郭へ至るまでに幾つかある石積みで固められた虎口の、畝状竪堀等々見所は大変豊富です。
 石積み遺構も本郭周辺に残されており訪城に時間は要しましたが飽きさせないですね。
 でもとにかく広いですよ、上にも書いてありますが埴原城はグルット回って3時間半程掛かっております。 写真撮りながらゆっくり歩いているのでもう少し時短も可能かもしれませんが、ここも訪城には時間の余裕が必要です。特に午後から入る場合は日没時間にも注意が必要でしょうね。
 一つ心残りが北側の郭群を見られていない点。思い返せば北側に行く道がなかったような気も・・ 堀底歩かないと行けないんでしょうかね?