ちょっと山城に (正規運用版)

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松尾(古)城 (長野県 上田市)

松尾(古)城

 
訪問 2016年 12月
 
駐車場 有
案内板 有(解説のみ)
 
 2016年は大河ドラマ真田丸」で大盛り上がりでしたね。
ブームに漏れず夏に岩櫃城に出撃しましたが山城ではあり得ない程の人でごった返していたのが印象的でした。
 他の真田氏ゆかりの地でもさぞかし観光客で賑わった事でしょうね。
 
 さて今回は放映終了後の年末に上田市に出かけた模様です。
 観光の目玉?である上田城も行きましたが、山城好きとしてはもうちょっとパンチの効いた城も見てみたい・・と言う事で訪れたのが今回の松尾(古)城になります。
 
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 松尾古城 主郭部石積み遺構
 
松尾(古)城という表記も面倒なので松尾古城に今回は統一してしまいます。
 
 現地案内板の内容を掲載します
上田市指定文化財

史跡 松尾城跡 (松尾古城跡)

東西11m・南北14メートル四方を石積みで囲んだ本郭は、真田郷はもちろん、上州方面からの敵の侵入も監視できる絶好の地である。
 
 大堀切を越えてさらに尾根伝いに登ると「遠見番所」に至るが、ここは上田方面まで遠望でき、物見の砦と考えられる。
 
 山麓には真田氏の古い館跡や墓(日向畑遺跡)とされる場所があり、一帯は幸隆以前の真田一族との関連をうかがえる。

 平成27年10月
上田市教育委員会

 大変ざっくりした解説なのはこの松尾古城が真田の城という明確な証拠が無いようだからでしょうね、築城地の立地としては解説にあるように信州方面からの監視が主目的に思えるので真田氏の意図があると思われますが・・
 
 
場所は以下のURLを参照して下さい。
 
 

 
訪城は県道4号から長谷寺方面へ分岐してすぐになります。
 
 
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松尾古城手前150mに用意されている訪城者用の駐車場です。
 訪問は昼前でしたが路面が凍結しており冬用タイヤが必須な状況。
 
 私は関東の人間なので普段スタッドレスタイヤを車に履かせておりません。
この時も当然ノーマルタイヤ、上田の市街地までは問題なく通行できましたが、松尾城に向かうにつれて凍結路面が増え、遂にこの駐車場手前500m付近で断念して徒歩でここまで来ております。
 まぁ、辿り着けなければ諦めるつもりだったのでかなり幸運だったと言えるでしょうか。
 
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 工事現場越しですが松尾古城のある尾根を遠景から撮影しております。
 遠見番所というのが鉄塔のある辺りだと思うのですが今回はそこまでは行っておりません。
 手前の主郭までになります。
 
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現地に縄張り図がないので、「長野山城ベスト50を歩く」から図を拝借しております。
 図左下の尾根先端部から一直線に主郭に向かって歩くルートになります。
 
 
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 さて、駐車場から150m程歩きますと、松尾古城への入り口に至ります。
古城っぽい石積みが施されていたりします。
 
 
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 そも石積みの上が先の案内にもあった「日向畑遺跡」です。
 読みは「ひなたばだけ」
 室町から戦国時代にかけての石塔群で、幸隆以前の真田一族が葬られている可能性もあるそうです。
 
 
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日向畑遺跡に隣接する「安智羅明神」
 神社の御神体真田幸隆の幼少の姿を写した像と伝えられているそうです。
 
 
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お社はこんな感じです、日陰なので雪が残っております。
 
 
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お社の右手の畑地に城郭遺構にありがちな石積みがあったので思わず撮影。
これも城郭と関係ありますかね?  それとも何でも城郭遺構に見えてしまう病気に罹っただけなのか・・
 
 
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さてさて、いよいよ尾根道を登り松尾古城本体に向かいます。
 が、山道にも雪が残っており足元注意が続く事になります。
 
 
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 中腹のお社を過ぎると痩せ尾根は更に岩盤がむき出しの荒々しい地形になります。
雪も吹き溜まりはかなり危険な状況。 岩が一部凍結しており幾度も迂回を強いられてしまいます。
 
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振り返るとこのような状況。 尾根を境に雪の残り具合が対照的です。
乾いた南側斜面に迂回したくともこっちの方が険しく全く降りられず・・
 
 
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尾根と並行して北側斜面を暫く進むと点在する石積み遺構が目につきだします。
尾根沿いの小郭か、尾根道の法面保護用の石積みと思われます。
 
 
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雪でかなり隠れてますが石積み遺構があちらこちらに・・
 
 
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もうちょっと接近したいけど足元が滑るのでこれが限界。 
 
 
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点在する石積み遺構を眺めつつ進みますとやがて眼の前に立ちはだかる石積み遺構が現れます。 これが実に見事な造りで雪道を登った甲斐があったというもの。
 真ん中でちょっと凹んでいる所が虎口ですかね。
 
 
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石積みに接近して撮影。 つららが育つ程の寒さは・・どうでもいいとして、今にも崩れそうに見えると思いますが、これが見かけに反してしっかりと組んでありまして
かなりの安定感があるんです。
 
 
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石積みから登って来たルートを撮影。
 結構険しいですが、雪さえなければ特に問題のないルートです。
 
 
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 更に進みますと切岸面があり、その際にも石積み遺構があります。

岩盤の上に積み上げてありますね。
 
 
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 やはり石積みのアップ。 
 
 
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主郭まであと一歩までやってきました。
 画像左上が主郭、その足元に腰郭があります。
 ここは主郭より広いですかね、松尾古城では唯一と言っていい位のまとまった平坦地。
 
 
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その先は主郭に向かって九十九折れの急斜面を登ることになります。
 ここも当時の? らしき石積みで補強されております。
 
 
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 立ちはだかる主郭石積みを乗り越えて・・お邪魔します。
 
 
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 さてさて、坂を登りきった主郭内部は雪景色、こんな時に行くのがどうかしている訳でして・・
主郭と言ってもご覧のように大変ささやかな規模に過ぎませんが、特筆すべきは全周を囲う石積みが崩落を逃れ極めて良好な保存状態を維持している事でしょうね。
 
 
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主郭北側の石積みはすっかり雪に覆われております。
 
 
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主郭には木製の周辺案内図も掲げてあります。 覆っていた雪を払って撮影しようと思ったのですが寒さで氷り付いてまして取りきれません。そんな訳でして中途半端な除雪になっておりますが悪しからず。
 
 
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主郭最奥部の祠から撮影した主郭全景。
 主郭は特に風が吹き抜けるので尋常ではない寒さが体験できます。
 
 
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日当たりの良い南側斜面から主郭の石積みを撮影。
 こっち側だけは雪が残っていないです。
 
 
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主郭裏側の大堀切手前の様子。 こちらも石積みで防禦されています。
 
 
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主郭裏手の大堀切を見下ろして撮影。
 松尾古城で堀切はここ1本だけなので是非堀底まで降りたかったのですが、雪に覆われた斜面を戻るのに不安を覚えたので降りてません。
 
所要時間 1時間

松尾古城の評価は 4 とさせて下さい。
 
 松尾古城は尾根沿いを石積みによって仕切って郭を直線状に展開する比較的シンプルな構成で、城域もさほど広くはないです。
 訪城に掛けた1時間も雪道の往復が大半。
でもここ、城跡・古城の醸し出す鄙びた雰囲気がぐっと迫って来まして・・良い城だと思いました。 
 季節を変えて又訪城したい、じっくり見たいと思える個人的には大変お気に入り度の高い城跡です。