ではでは早速水番城1 の続きと参ります。
前回は主郭北側の堀切辺りまでを紹介しました。
導入部で少し触れましたがこの水番城とお隣の林大城は密接した連携関係にあった事が示唆されておりまして
こちらはその根拠となる林大城までの導水施設の案内板。
案内板は「林大城」にあり「姫の化粧水井戸」と伝わっています。
お姫様の件はあくまでもフィクションとしても水番城脇のカシハ沢から林大城へ導水していた伝承はあるようですね。
林大城「姫の化粧水井戸」の現状。 画像は過去の訪問時のもの。
水の確保の為に、こんな手の込んだ土木工事を施す位なら主城機能を水番城に移せばいいのに・・と思えてならないのですが。
それはさて置き本題に戻ります。
こちらは主郭切岸面から振り返って撮影した所。
尾根沿いの小郭と堀切が確認できます。
主郭に到着。 といってもご覧の通りのささやかな規模でしかありません。
足元に残る無数の整形された石。
主郭には土塁が巡らしてあったのかな? 僅かですが際部分には土の盛り上がりが確認できます。
さっきの石は土塁の土留め用か。
主郭裏側の構造は大変特徴的です。
尾根道を幾筋もの堀切で遮断し更に斜面には畝状竪堀群を設けるという念入りな防禦姿勢。
ギザギザに改変された山肌を例えるなら洗濯板みたいと言う感じですかね(例えが古いですが)
先ほどのアングル足元に残る石積み遺構。
周辺の山城群の中では小規模な水番城ですが石積み遺構では決して引けを取らない良い物が残されています。
状態も良いです。
こんな脇役の城までしっかり石積みを施していたんですね。
さて、石積みを後にして更に奥へ進みます。
こちらは尾根筋を遮断する堀切。
画像左後方には畝状竪堀もあるのですが・・判り難いですね。
次の堀切を過ぎると尾根上を削平化した細長い郭に繋がります。
細長い郭(縄張り図の搦め筋)の末端部には浅い堀切で区切られています。
縄張り図ではその先は城外ということになってますが、ご覧の様にその先は一気に標高を上げるので城内側が丸見えになる造り、果たしてこんな末端部でいいものなのか・・
堀切の脇に「搦め手筋」の標柱がありました。
標柱が指す方向は林大城側に延びる尾根筋、どこに出るか興味があるので進んでみることにします。
ちょっと進んで振り返った所。
尾根筋に幾段かの小郭を構築したような段々地形が残ります。
水番城の本来の城域は図よりもっと広大だったのでしょうかね。
更に進むと対岸の林大城が見えて来ました。
元々踏み跡が薄い山道でしたが道筋は次第に曖昧になり遂に消滅。
このまま強引に麓まで降りるか迷いましたが、境界にある獣除けフェンスに出入り口がなければ来た道を戻る羽目になるのは必定・・・という事で撤退です。
所要時間 1時間半
水番城の評価は 3 とさせて下さい。
この辺りの大物物件と言えば林(大小)城・桐原城・山家城 が代表的な山城になり、それらと比べれば水番城は2軍選手のような物。
と 思って訪城したのですが、予想に反して見所は多いですね。
規模はさすがに劣りますが畝状竪堀群や石積み遺構など必見ポイントが凝縮されており、あっと言う間に時間が経ってしまいました。