ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

天神山城 (埼玉県 秩父郡長瀞町)

天神山城

 
訪問 2017年 1月
 
駐車場 無し
案内板 無し
 
 
お正月のお城巡りの記録、第二弾はここ天神山城になります。 
 寄居町にある北条氏邦の拠点 鉢形城から荒川に沿って車を飛ばして30分程でたどり着く城郭になります。
 
 秩父方面との連絡上重要な地点と思われる所に築かれている天神山城ですが、かつて観光目的で主郭に築かれた模擬天守とそれに伴う造成で破壊に見舞われた城郭遺構です。
 
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天神山城2郭 石積み遺構
 
 
 
場所は以下のURLを参照して下さい。
 
 

 
県道沿いにある白鳥神社の裏山に天神山城は築かれています。
 残念ながらここ、城郭遺構の規模に反して現地には案内板も登り口の矢印も用意されていないようです。
 
 駐車場としては県道向いの公会堂に停められるスペースがあるようですが、あまりこういう所で「停められます」 と書くのは地元に方に迷惑が掛かる可能性があるので、ここでは駐車場は無いです、とします。
 因みに県道を白鳥神社より南に100m程行くと路肩が広くなっているので、今回はそこに車を停めました。
 
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 県道沿いにある白鳥神社
 
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城へは社殿左手にあるこの山道を辿ります。
 
 
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 天神山城の縄張図です
図は「関東の名城を歩く 南関東編」から借用。
 図右上のジグザグの山道の麓が白鳥神社。 神社から城郭遺構までは10分程度でたどり着けますが・・
 
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 ・・・などと意味深な書き方をしたのは、この道はハイキングルートや登山道と違って周囲の植林地の管理道であるが故に分岐が多く迷い易い為。
 まぁ、迷ってひたすら上を目指せば廃墟の模擬天守が見えてきますので遭難はしないと思いますが。
 今回の散策ルートを赤く加筆しましたが、ジグザグルートを知らずに外れてしまい、とんでもない所から直登しております。
 
 
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ここが道を間違えたポイント。 薄暗い樹林を抜けて左手が明るい為そっちに行ったのが間違い。 右手に折れるのが正解。
 
 
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 戻るのも面倒だ、という事で尾根筋を目指し斜面を強引に登攀中に撮影。
 写真写りが悪くて掲載しませんが、尾根を断ち切る2条の竪堀が見事に残ります。
 
 
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 麓の様子がうかがえたので撮影。 荒川が僅かに見えますかね?
 
 
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 尾根沿い腰郭より主郭を見上げて撮影。 切岸面が険しいので、等高線に沿って迂回する事にします。
 
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 ぐるっと回り主郭直下の腰郭に到着して主郭方面を見上げて撮影。
 ここの切岸面は見ごたえ十分な規模。
 
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 さて、見えて参りましたのは主郭にある模擬天守の朽ち果てた廃墟。
 城=天守閣 という間違った認識を元に造られて、やがて放置された廃墟です。
 昭和の城郭遺構と呼べばいいのですかね、時代考証を考慮しない建物は本当に勘弁してもらいたい。
 
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 折角来たのでお邪魔します。 
内部は想像以上に痛みが激しく床も腐って抜けています、歩き回るのは不適当なので此処までで終わり。
 展示品がそのままなのは何とかならないのですかね、勿体ない。
 
 
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 裏側からもう一枚。
 脇の祠と冬枯れた木々とマッチして不気味さが余計引き立っております。
 
 
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不気味な廃墟を後にして、2郭に向かいます。
 主郭と2郭を分け隔てる堀切には今にも折れそうな橋が架けられていますのでこれを利用します。
 
 
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橋の上から堀切を撮影。 堀底はかなり土砂で埋没しております。
 
 
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2郭内部の様子。これまた朽ち果てたトイレが不気味。
 天神山城では最大の面積を持つ郭ですが、内部は藪ぼうぼうで歩き回れる範囲は極めて限定的。郭の際の土塁にも全く近づけません。 
 はっきりした道もなく、草の茂る季節は全く歩き回れないでしょうね。
 
 
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 崩れかけた展望台を過ぎると郭平部は緩斜面となります。
 
 
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 その先は少し開けて、土塁が確認できます。
 
 
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 土塁は石積で補強されています。
 
 
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 かなり埋もれてはいますが、整形された大振りな石を用いているのが判ります。
なんだか前回掲載した平井金山城と似ているような・・
 この辺りで石積と言えば小倉城のように板状の石を積み上げるのを想像するのですが、加工に使う石材の違いからくるのでしょうか。
 
 
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 こちらは2郭下段の腰郭、というよりも例の天守観光向けに車道に造り変えられた郭の跡でしょう。
 幅も均一で荒れた林道と呼ぶべきか。
 
 
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それでも石積み遺構と思しき痕跡がかなり残されています。
よく破壊から逃れたものです。
 

天神山城の評価は 3 とさせて下さい。
 
遺構単体では4の評価は確実と思います。 今回未調査の出郭も含めればかなり大規模な城郭遺構であったのは間違いないですから。
 
 しかしながらマイナス要因が多すぎます。
妙な観光地化の為に貴重な遺構が無残に破壊された事、廃墟がそのまま朽ち果てている事、中世城郭として散策路の整備等が皆無な事。 
 近隣の鉢形城の整備とは比較にならない悲惨な状況と言ってよいでしょう。