ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

松尾古城 遠見番所 (長野県 上田市)

松尾古城 遠見番所 

 
訪問 2017年 11月
 
駐車場 有り(麓)
案内板 有り(松尾古城主郭)
 
 松尾古城については2016年の年末に訪問し、その内容は以前紹介したとおりですが、傑出した石積み遺構とその地山の険しさによる訪問難易度の高さが特徴の城郭遺構になります。
 
 また麓にある遺構などから真田氏の拠点説などがあり真田の里に点在する城郭遺構の中では知名度の高い山城の一つに挙げられています。
 
 その松尾古城最奥に位置する主郭から更に標高で300m以上登った先に遠見番所と呼ばれる見張り台・監視所の遺構が存在します。 
 
 今回の目的はその遠見番所になります。
 
 年末に訪問した前回は積雪により主郭までで諦めましたが、やはりその奥にも遺構があるならばどうしても行ってみたい・・ 番所なんだからそんな大層な遺構がある訳でもないのに、もう自己満足の世界ですね。
 
 
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 遠見番所 石積み遺構
 
場所は以下のURLを参照して下さい。
 
 

 
 
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使いまわしの周辺城郭図。
 遠見番所は画像の右端の松尾古城から更に山を登った所になります。
 
 
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これまた使いまわしの松尾古城縄張り図。
 
 
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天白城から移動中に撮影した松尾古城とその上の遠見番所の遠景。
 
 気のせいか物凄く高い所にあるような・・・これじゃ「お城巡り」じゃなくて登山じゃないのか、そんな予感がします。
 朝から天白城に登って少し疲労を覚えていたので、次の機会でもいいかなと。
 
 
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 そう思いながらも入口まで来てしまったので諦めて登ることにします。
松尾古城の駐車場と登り口の案内は前回の松尾(古)城の記事を参照して下さい。
 
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やっぱり気になる畑の石積み遺構。
 麓にあった屋敷の跡なんじゃないですかね。
 
 
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 入口にある熊出没注意の看板。これ一枚じゃなく念入りに3枚程掲示してあります。
 前回訪問した時にはこんな注意看板なかったので実際に熊さんが出没したと思われます。
 
 
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さてさて、松尾古城の主郭までは以前紹介したのでざっくりした内容に留めます。
 これは尾根道沿いにある石積み遺構の名残。
前回は雪で隠れて見落としていた遺構ですね。
 
 
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 紅葉の時期を狙って正解だったかな、天候も良くいいお城日和。
ここの石積み遺構は真田の里の中でも傑出してますね。
 
 
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 のんびり散策しながら主郭に到着。
ここまで麓から30分程度の山登りになります。
 
 
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狙った写真を一枚。
 
 
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 旧真田町の山城ではお馴染みの木製案内板。前回は雪で隠れていましたが今回は明瞭に確認できます。 
 この画像は拡大できます。
 
 実はこれ、遠見番所についての記述内容に重大な誤りがあります。
 
主郭の標高は手持ちの高度計では974m。遠見番所では1318mを示していたのでその標高差は344mもあります。
 ですが、案内板に記載されている比高差はたったの160m。
 
 この比高差は 全くのデタラメ。
 
 鵜呑みにして遠見番所まで足を伸ばそうか・・と気軽に行けば遭難のリスクがあります。
 
 
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さて、主郭背後の大堀切を渡りいよいよ遠見番所に向かいます。
 この堀切も見ごたえ十分。
 
 
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大堀切はそのまま竪堀に繋がっています。
 
 
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大堀切を対岸から撮影。
 
 
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 大堀切から先には道らしい道というのは無く尾根沿いの踏み跡をなぞるような登山になります。
 斜面の勾配はいよいよ厳しさを増し、更に足元には落ち葉が積もり滑り易く転倒や滑落への注意が必要。
 
 登りは勿論ですが下りも通常よりも遥かに時間を要するので、入山時間と日没時刻にも注意が必要です。
 
 
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標高が上がり周囲の景色は秋の紅葉から冬枯れに変わります。
 
 この辺りから足元に獣の糞が増えます。 
滅多に人が立ち入る事がないという印象でやっぱりここは熊除けの鈴は必須と思われ、できれば単独行動も避けるべきでしょうね。
 
 
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ひぃひぃ言いながら登る事 約30分で途中にある鉄塔に到着。
人工物を見ると何故かホットします。
 
 
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鉄塔の機能美をしばし堪能。
こんな山奥にどうやって建設したのか・・
 
 
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 そしてここは絶景ポイントでもあります。 さっき登った天白城を探しながらしばし休憩。
 ちなみに、手持ちの高度計で鉄塔付近の標高は1183m。
 
 
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 更に奥を目指します。 
 リボンと長靴の踏み跡を頼りにひたすら登ります。
いやぁ~年末に行った時ここまでチャレンジしてたら間違いなく遭難してましたね。
 
 
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途中にある仮称「偽遠見番所
 見上げると石積みに見える岩棚です。
 ゴールが見えたと思い頑張って登ると只の岩、そんなぬか喜びを味わえる岩が幾つかありながらも
 
 
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 鉄塔から歩くこと約20分経過した所でようやくゴールの遠見番所に到着。
 で、肝心の遠見番所は想像以上に小さい。
手持ちの高度計では標高1318mを指していました。
 
 
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 麓から1時間40分余を掛けて この石積遺構だけなんですがね。
それでも結構満足、自己満足の世界です。
 
所で、折角来たので石積みの寸法を測ってみました。
 
 手を広げての計測なので正確さは欠けますが 間口1間半、奥行き2間半(1間=1820mm計算)と言った所。
 広さを畳で表現すると7畳半に過ぎません
 
 城郭遺構と言うより山小屋・避難小屋と呼んだ方が適当でしょうね。
 想像ですが石積みの上に簡易的な屋根を組んで遠見番の者が雨や風雪を凌いでいたのでしょうか。
 しかし、こんな所が勤務先では堪らない、当時の見張り担当の苦労が偲ばれます。
 
 
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反対側(山頂方面)から撮影した遠見番所石積み。
 このように外側の方が気持ち石積みが低い、つまり内側の床土を少し掘っている? ように思えます。
 
 
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接近して苔の具合を撮影。
 
 
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遠見番所と言いながらも樹木で視界が悪いのでもう少しだけ奥まで足を伸ばす事にします。
 
 
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少し進み遠見番所方向を振り返って撮影。
画像正面尾根の奥が石積み遺構、手前に浅い堀切らしき起伏があるのですが・・こんな山奥の更に山頂方向から攻め寄せられる可能性ってあったんでしょうかね。
 
 
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高低さの乏しい尾根をしばし進みます。
 
 
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遠見番所から50m程進むと小ピークがあります。
 今は樹木が茂り視界不良ですが、本来の監視所はここかな? と推定。
 
 
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同じ地点から撮影した遠景、やっぱり木が邪魔して良く判りません。
遠見番所は以上になります。
 
 
所要時間 3時間

遠見番所の評価は 2 とさせて下さい。
 
 熊が出没する山に入り込み往復3時間掛けてわざわざ見る物でもないでしょう、という理由で評価は低めです。
 
 しかしながら、山城好きをこじらせたへそ曲がり?なら足腰の筋肉痛と共に妙な達成感を得られると思います。
 
 松尾古城までなら容易に訪問できますが、遠見番所へ行くのは完全に自己責任の世界でしょうね。
 ちなみに、往復3時間ですがこれは少し早いペースで歩いています。