大築城
訪問 2014年 12月
駐車場 無(登山道入り口脇に駐車可のスペース有)
現地案内板 有
最近珍しく記事の更新が快調です、と・・言ってもその内いつものおさぼりモードに移行しますが悪しからずにてお願いします。
さて本題の大築城の紹介です。
中世城郭の密集している比企郡からはやや南に位置する今回の大築城、見事な遺構に驚くと共に印象的なのは城から見える下界の眺めの良さ、 大築城は麓からの比高が周辺の城郭より圧倒的に高いようです。
大築城 尾根沿に展開する連続廓群
大築城に関しての情報を現地案内板より掲載します。
大築(おおづく)城跡
この城跡は、本廓が標高465mの地にあり、周囲の斜面には廓やそれを結ぶ通路、防備の為の空堀などが残っており、中世の山城としては県内でも有数の規模と遺構を誇るものである。
大築城は、小田原北条氏の家臣、松山城主上田朝直(ともなお)が、一山七十五坊を有し関東屈指の大寺院であった天台宗関東別院慈光寺を攻略するに際して築城し、北方5キロmに臨む慈光寺を焼き打ちしたものと考えられる。
なお、この山の周辺には、遠見、馬場、硯水、大木戸、モドロノクルワ等の地名が残っている。
東から西側に向かって標高を上げる尾根沿いに城は築かれています。
城北側の椚平と 南側の麦原、 両側から訪城出来るようですが 今回は南の麦原の集落から訪城しました。
県道30号から県道61号に入り 暫く進むと 「あじさい山公園」の案内が見えてきます。
ここを右折します。
大築城までの道のりは若干解りにくいので、今回はルート案内を詳しくしますね。
山道を道なりに進むこと数キロ、住吉神社のある三叉路を右折
三叉路の前にある付近見取り図 今回のルートはオレンジ色で加筆。
三叉路からの所要時間が書いてあります。
大築城まで50分とはここから歩いた場合かと。
やはり道なりに進み山間部の集落を抜けると 道が急に心細くなりますが、その手前に大築城への登山道入り口があります。
この辺りに車を停めさせて貰いました。
ここからは徒歩です、城山ハイキングコースを辿り大築城を目指します。
普通にハイキングコースを登ります。 暫くは山登りを堪能しましょう。
途中登山道が分岐しますが オレンジの方へ進みます。
先の分岐にあった登山道概略図。 現在位置から「モロドノくるわ」を目指します。
右に折れても小築山経由で大築城(城山)には辿り着けますが、途中この図にはない分岐が幾つかあって解りにくいです。
引き続き山登りです。
途中山並みが見事に見られるポイントもありますが、基本的には眺めのないルートになります。
ちょっとしたハイキング気分になりながら登るとようやく大築城の「もろとの廓」に到着。
本来は毛呂殿ですかね。 案内板がのけぞっているのが特徴的。
ここで本廓に掲示してある縄張り図を掲載します。
モロドノ廓は大築城のある主尾根から分岐した支尾根に築かれています。
モロドノ廓内の様子。 削平化された範囲はごく狭いのですが周囲には土塁の跡が明瞭に残されています。
等高線の沿って主尾根部に展開する本廓を目指します。
山道は唐突に尾根沿いに向かって直登します。
恐らくこれは竪堀の堀底かと・・この道かなり険しいです。
稜線手前で虎口の痕跡らしき折れがあります。
廓内の様子です。 本廓側に向かて振り返り虎口を撮影。
城内は植林地となっていますが、下草もなく非常に見やすい環境です。
後の画像でも解りますが 特筆すべきは遺構の風化が少なく、ひょっとしたらほぼ当時のままでは? と思えるほど。
本廓の様子。 まっ平らという訳でもなく大雑把な削平具合。
こうみると山肌にへばりつくような(スイマセン)集落ですね、埼玉とは思えません。
本廓より東側の廓群が非常にダイナミックな遺構が残されていまして、これが非常に見ごたえがある素晴らしい遺構。
慈光寺方面の眺望。 実に素晴らしいビューポイントである本廓です。
それにしても高い位置に山城を築いたものです。 理由に見当がつきません。 麓からの登り降りでかなりの時間を要する不便な地ですし、交通の要衝であったのか・・
5キロ先の寺院を焼き打ちする為の築城と案内板にはありましたが・・遠過ぎではありませんかね・・・お寺がどこかは解りませんでしたが正面谷あいにある市街地の先にある筈ですよ。
同じく東側廓群
堀底から西側の廓を見上げて撮影。 更に西側に一段高く廓があります。
今でも空堀は大変鋭い角度をもって、コの字形の角もしっかり確認出来ます。
お気に入りポイントなのでもう一枚掲載します。
本廓よりむしろ東側の廓群の方が入念に地形を改変しているようです。
大築城は特に東側の尾根筋からの侵入に警戒した縄張りなのであろうと・・素人考えで推測し、では大築城の東隣にあるピーク小築山方面にも何か遺構が残されているかと見に行くことにしました。
縄張り図の西平方面です、 東側廓群を過ぎ100m程で両ピークを結ぶ尾根の鞍部に到着します。
が、特に自然地形のままのゆるい尾根道があるだけ・・
小築山山頂に到着。
山頂部がこのように平坦地である以外は特に遺構らしきものは解りませんでした。
遺構があるという推測は考え過ぎでしたかね。
大築城の評価は 4 とさえて下さい。
ここも築城の由来はあまり良くわかっていない城郭の一つなのでしょう。 それでも遺構の規模が大きく、特に東側の堀切りの規模は圧巻。
遺構の保存状態も非常に良く400年以上経過しているとは思えない程です。
車を停めて山道を30~40分程歩く事になりますが、それだけの価値がある城郭遺構と思われます。