ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

山上碑・山名城・根小屋城 (群馬県 高崎市)4

 では早速続きと参ります。いよいよ根小屋城の中核部になります。
 長々と続けてきましたが、この一連の紹介も今回で最終回になります。

イメージ 1
 下縄張り図 緑7の虎口
 
イメージ 2
 城内を徘徊した順に紹介したいと思います。
 前回掲載が橙色、今回は緑色のルートになります。
  縄張り図上側(根小屋側)は藪が酷く散策路も半ば消滅しており未調査です。
改めて縄張り図をみると尾根側も麓側も全てに警戒した縄張りですね。

イメージ 3
緑1 の位置から撮影。 浅く風化した中央部の空堀を挟んで左手が本廓の切岸
 右側2廓との比高差は相当なものです。

イメージ 4
同じ地点から視点を変え根小屋方面を撮影。
 足元の切岸の先は一段下の廓になりますが、内部は荒れた雑木林になっており全く入れる余地がありません。

イメージ 5
仕方がないので2廓内をどんどん進みます。

イメージ 7
緑2の位置にある 竪堀。
 どんなに遺構が素晴らしく残っていても、それを写真に納めると何が凄いのかさっぱり伝わらない代表格が竪堀なのですが、この竪堀も例外ではなく只の藪と看板の画像になってしまいました・・実物は良く残っているんですがね。


イメージ 6
緑3にある井戸跡。
 井戸といっても石垣で円柱形に地面に穴を掘ったものではなく、蟻地獄の巣のような巨大な円錐形の窪地です。
 同じような窪地が山梨県新府城にもありましたし、都下の羽村にも「まいまいず井戸」なるすり鉢状の井戸が残っています。 

イメージ 8
緑4の虎口を内側より撮影。 空堀の先が城外側になります。
 高低差のある両側廓に挟まれた堀底道にも見えますが、堀底は井戸の手前で消滅しており、細長い枡型虎口ではないかと思えました。

イメージ 9
緑5の地点 2廓外側の切岸面になります。
 撮影地点は手前空堀を挟んだ対岸の廓切岸面。 切岸が手前で直角に折れているのが解る? かと思います。
 山名城と違って根小屋城の遺構は角がしっかり折れているのが印象的でした。

イメージ 10
緑6の地点 井戸脇の土橋を渡り再び本廓周囲の堀底道を辿ります。
 散策路がS字に蛇行してるので侵入者の動線を折る縄張り上の工夫が想像出来ると思います。

イメージ 11
緑8の地点です。
 左手急勾配の切岸面の上が本廓です。 この辺りが根小屋城のハイライト的な遺構ですかね、侵入者を阻む土の壁の威圧感。 

イメージ 12
振り返ると このような感じ・・本廓と周囲を固める廓との比高差は全周変わらずに圧巻の高さを誇っています。
 根小屋城、やはり只の狼煙台ではないと思いますが・・・
 
イメージ 13
堀底道にも折れが伴っています。 堀底には畝の痕跡らしき盛上がりもありました。

イメージ 14
緑9 つまり本廓内部に到達しました。
 実は縄張り図の矢印が示すように気まぐれに切岸を登攀しまして・・やはりやるもんじゃないです、灌木の枝につかまりながら何とか登れましたが城が現役の頃なら絶対に登れないと思います。 

イメージ 15
本廓内部はそれなりの広さ。 
 想像ですが、根小屋城が攻められたらこの本廓まで後退して援軍が来るまで徹底抗戦する意図があったのではないかと。

イメージ 16
緑10の坂虎口の跡
 実際は坂じゃないです・・崖虎口でしょう、降りるのはかなり危険。

イメージ 17
緑11の 枡型虎口。
 アングルに納まりきれずに何だかよく解りませんね・・


根小屋城の評価は 5 とさせて下さい。

 主要部は下草が刈られ遺構が見やすく整備されています。
 肝心の遺構自体についても、大変な土木量を投下した事を覗わせる高く鋭い切岸面や長大な空堀、技巧的な折れを伴う廓群など見所が多く大変満足な訪城になりました。
 虎口の造作については、素人考えですが甲府躑躅ヶ崎館や新府城の虎口をつい連想する形状で興味が尽きません。
 
 山上碑の駐車場からハイキングコースを辿ること30分弱という行程を踏まえても訪城する価値ありの城郭遺構であると思います。