ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

新府城 (山梨県 韮崎市) ①

 今回は初の山梨県遠征です。 新府城は七里岩と呼ばれる八ヶ岳山麓から南の甲府盆地へと伸びる細長い
 
浸食台地の上の小丘陵を利用して築かれています。
 
 七里岩台地の東西の崖端は比高100メートル近い断崖絶壁が延々と続き、ここからの侵入は全く不可能
 
であり、 唯一地続きの北側の防禦として城から1キロ強離れた支城の能見城(未訪城)付近に遮断線を構築し
 
台地そのものを巨大な外郭部としています。
 
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                                   ― 七里岩ライン(県道17号)より見た新府城北側 ―
 新府城は1581年より武田勝頼によって築城が開始され、突貫工事の末に 同年12月24日には未完成
ながら旧居館である躑躅ヶ崎館からの移転が行われた。
 しかし翌1582年3月3日には、 織田信長の武田領侵攻に伴い小山田信茂岩殿山城へ退却する為に自ら 新府城に火を放ち勝頼は城を退去。 
 その後、勝頼は退却の途中に小山田信茂の裏切りにあい天目山で滅亡。
 同年、本能寺の変後に旧武田領を巡る北条氏と徳川氏の戦い(天正壬午の乱)では、 碓氷峠を越えて
信濃 を南下する北条氏に対して徳川氏が新府城を拠点として再利用している。
 頭の画像のように一見すると桃園の中にある丘に過ぎませんが武田流築城術の最終形態であり
かつては御屋形様の居城、丸馬出しや舛形虎口など見所が満載に残ってました。
 
 

 
 
※Yahooマップを縮小して見ると、甲府盆地と信州を結ぶ地峡に位置するのが解ります。
 
 
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 現地にある想定復元図です。 地図上が北になります。 まずは外周から見ていきます。
城域(史跡指定地域)は約20ヘクタールにも及び、さらに外郭も含めれば広大な一大城郭を形成していたのでしょう。
 
 
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 城北側の堀跡です。 
新府城の見所の一つである堀に向かって細く突き出す出構です。 東西2箇所ありこれは東出構。
十字砲火を狙った銃座とされています。
 
 
 
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 東出構の根元から西出構を撮影。 
旧水堀はすっかり埋まり元?の川に戻ってます。 右手の城外はなにやら公園化整備中の様子です。
 
 
 
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 西出構根元では発掘調査が行われているようです。 
出構って果たして実戦で有効であったのでしょうか?  逆にここを橋頭堡として城内へ侵入され易くなりそうにも思えてきます。 
 
 
 
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 西出構から城搦め手方面。
背後には南アルプスがどーんと広がりまさに絶景でした。 手前の堀跡は湿原になっています。
果樹園や畑地の多い七里岩台地にしては驚きの水量です。
 
 
 
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 西出構と周辺の引き画像
前の石板には堀の発掘調査の成果等が説明されてます。 内容は↓に転載
 西出構と東出構の約120メートルの間に3箇所の折れを持って構築されており、幅は6~7メートル、堀底まで およそ2メートル前後の深さがある。
 堀は南側が急斜面となり、北側上半部の傾斜は緩く20~30度、下半部で45度前後の角度をもつ。
 石積みなどの構造物はなく、箱堀で、断面は2段の逆台形をしている。
 この堀の北側には深田状の湿地帯が広がっていたと推定され・・・以下略
 
 
 
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 東出構 正面
奥に見える城内土塁面より一段低いのが解ります。
 
 
 
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 城東側の水堀跡。 
堀と城は県道17号によって分断されています。
以前はここに 「首洗池」 と書かれた看板があった記憶があります。
 
 
 
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には貯水用の堤が複数確認できます。
 
 
 
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 城東側にある現在の入り口です。
石段を上がると一直線に本丸にある藤武稲荷神社に着きますが勿論当時はそんな容易に行けません。
 
 
 
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 鳥居まで石段を登り本丸方面を見上げ撮影。
帯廓の土塁線が連続してあるのが解ります。 縦深こそありませんが高低差はかなりあります。
 
 
 
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 帯廓を北へ進み先ほどの東出構を城内から撮影。
 
 
 
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 廓から搦め手方面に進むと途中でこの 「謎のすり鉢穴」 があります。
直径10メートル・深さ3メートルくらいでしょうか? これ何でしょうか?  縄張り図も無視してますが・・
 羽村「まいまいず井戸」  にも似て見えますが それより穴が浅く井戸とも思えず・・・
 
 
 
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 め手郭(縄張り図左上)への土橋
奥の馬出しに復元土塁が見えます。 左手は七里岩の断崖絶壁で足元注意です。 左手は・・
 
 
 
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 このような絶景が広がります。 木立に隠れてますが僅かに釜無川が見えます。
 
 
新府城②に続きます。