ちょっと山城に (正規運用版)

ヤフーブログからの避難民です

滝の城 再訪(埼玉県 所沢市)①

 引き続き、先日御一緒させて頂いた 「黒備え馬賊」さん との共同城探訪の報告です。
 
今回は、 関越自動車道の所沢インター近く、都県境にある中世城郭 「滝の城」 になります。
 
 その昔、本当に城内に滝がありそれが名前の由来と伝わってますが、 一方で別名 「本郷城」 とも呼ばれる
 
ようです。
 
 規模こそまるで違いますが、 城の立地的には前回取り上げた 「柏原城」 と全く同じで、 台地が河川に
 
削られた河岸段丘の崖端を背にして本郭を築き、 台地続きの前面に向かって廓群や空堀を巡らし敵に
 
備えた構えとなっています。
 
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外郭部より見た滝の城3の郭
 
 実はここ滝の城は 今年1月にさらっと見て廻ってますが見落とし点が多く、不満の残る訪城でした。
今回再訪の機会を得たので、 外郭も含めてかなり念入りに見て廻りました。
 
「滝の城」 の築城者は、 当時多摩や入間一帯に勢力を誇った 「大石氏」 とされています。
 1546年に有名な河越夜戦で、 大石氏の主君である関東管領山内上杉氏が、 当時新興勢力であった
後北条氏に大敗すると、 状況は一変します。
 以降 大石氏は後北条氏の圧力に屈し、 北条氏康の二男氏照を養子に迎えるなどして次第に北条一門に
乗っ取られ、 それに伴い この 「滝の城」 も後北条氏の支城網に組み込まれてゆきます。
 その後 1590年に後北条氏が滅ぶと同時に この滝の城も廃されたようです。
 
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 総面積は約87,000㎡余り、 柳瀬川を臨む段丘面は比高約25メートルの絶壁によって守られいます。
 現状の遺構として、本郭 ・ 2の郭 ・ 3の郭 ・ と、 周辺の土塁と空堀は良く保存されていますが、 外郭部の
大半と 出廓の一部は住宅地として開発され遺構を留めていません。
  尚、 上の縄張り図は 「黒備え馬賊」さん に頂いた史料に加筆しました。
 
 
 
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 今回の訪城では、 まず城の外郭をじっーくりと観察してから内部を見る事にしてます。
ここは出廓外側にある城の由来となった 滝の復元箇所です。
 配置された巨石が若干わざとらしさがあるものの、ちょっとした渓谷位ある切り立った谷は容易に敵を寄せ付け
そうにありません。
 
 
 
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 出廓内部
 ほぼ自然地形を利用した様で、明瞭な遺構と言えばこの撮影ポイントが周囲より1~2メートル程高く、
明らかに土盛りを加えた跡と思われます。 
 又 外廓との間の空堀と土塁はほぼ消滅しているようです。
 ※この辺りで藪蚊の大群に包囲されました、夏シーズン虫除けは必須です。
 
 
 
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 出廓を奥に進み、外廓大手口に近づくと民家が現れます。 
この舗装路等は城現役の頃の境界を踏襲しているようにも思えます。
 
 
 
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 右側が先ほどの復元滝で道路寄り左は城外にあたります。
左手の畑には堀に沿って不自然な勾配が残ってます。 
 
 
 
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 この辺りが外郭の大手虎口 (勝手な推定で) を北側から撮影。
 遺構は完全に消滅してますが、道路のクランク具合が虎口の跡に思えて仕方がありませんでした。
先ほどの民家は左端に見えてます。
 
 
 
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 ここは縄張り図上で外郭部現存箇所と記載した所です。
 左手の茂みに空堀が隠れてました。 縄張り図と照合すると黄色い線の様に本来は横に伸びていたと考え
られます。
 
 
 
 
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 右手の造成地に入って撮影。
造成地は盛土で完全に埋められてますので逆に空堀の勾配が解り易いかと思います。
 後で調べた所、この盛り土の下には畝堀が埋まっているようです。
 
 
 
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 北側の県道から茂みを撮影。 推定空堀を黄線で書き入れました。
堀幅はフェンスの支柱数から10間(18メートル)程かと。 現在の土地の区割りは滝の城の構造をある程度なぞっているようです。
 畝堀の上はテナント募集中。
 
 
 
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 外郭から見た3の郭と空堀です。
滝の城中核部は公園敷地内にあり整備保存が行き届いてます。
 
 
 
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 外郭と繋がる唯一の土橋を渡り、馬出しから振り返って外郭側を撮影。
空堀向こう側の左手の土盛りは矢倉台跡です。
 
 
 
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 土橋から続くルートは堀を渡り、馬出しに入ると右へクランクします。
隣接する3の郭 (手前側) とは一段低く作られます。 後方の矢倉台の位置が実にいいです・・・
 この辺りが防禦の要なんでしょうか。
 
 
 
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 3の郭には磨滅してますが周囲に土塁を巡らせた跡が残ります。 廓と言っても馬出し程度の狭さです。
 
 
 
 
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 3の郭から内堀を撮影。 左手が本郭で右手が2の郭になります。
本郭側が一段高いのと、堀底に畝状の筋が確認できると思います。
 
 ②に続きます。