ちょっと山城に (正規運用版)

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林小城 (長野県 松本市)

林小城
 
訪問 2016年 8月
 
駐車場 無(路上駐車可能)
案内板 無(解説板のみ)
 
 前回掲載の林大城の次に向かったのが隣尾根に展開する林小城になります。
「小」と付くからおまけのような城郭を想像していたのですがいい意味で期待を裏切る見ごたえのある城郭遺構でした。
では早速
 
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   林小城本郭部 石積み遺構
 
主郭部にある林小城の解説を掲載します
長野県史跡
小笠原氏城跡(林小城跡)
 
所在地 松本市大字里山辺5259番地他
所有者 小岩井宗門ほか
指定年月日 昭和45年10月22日

指定内容

 林小城は、里山辺林集落東側の尾根上に位置し、東側に大嵩集落を挟んで、林大城と相対している。

 北側の山裾を流れる薄川(すすき)は防備の役目を果たしており、信濃国守護小笠原氏の本城に相応しい構えである。

 林城の築城は、「小笠原氏系譜」によれば小笠原清宗の時代に築かれ、井川館から移ったものと言われている。

 林小城は古城とも言われるので、大城より古いと考えられてきたが、最近の研究では、小城の中心部の縄張りが複雑であることから、大城よりも後に築城されたと推測されている。

 小城の主郭を取り巻く石垣や縄張りなどは、山家城や桐原城との共通性が高い。
 天文19年(1550)7月15日に武田氏の攻撃を受けて大城と共に自落した。

 松本の中世における深い歴史を秘めたこれらの遺構は、貴重な文化財として大切にしたい。

 平成20年3月
 松本市教育委員会
小城=古城 ではなく 大城よりも新しいらしいとの事ですね、確かに小城の方が色々とマニアが喜びそうな造作が多い印象でした。
 
 
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 林大城で使った地図を再利用します。 他城との位置関係です。
林大城と林小城は谷を挟んで隣接していますが、山道ではかな~り山上まで登らないと行き来できないですね。 
 両城に挟まれた谷地は平時の屋敷として利用されていたような気もしますが・・良く調べてはおりません。
 何となく、八王子城小谷城と共通性を感じられましたので。
 
 
 
場所は以下のURLを参照して下さい。
 
 

 
 
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 又しても再利用画像です。
林小城へは2通りの訪城ルートがあるようですが、今回はオレンジ矢印の地獄の釜方面からお邪魔します。
 
 
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 ここが城への登り口。
路肩に寄せれば1~2台位は停められそうです。
標柱と案内板がありますが風化しており文字は読めませんでした。
 
 
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 林小城の縄張り図です。 オレンジ色の訪問ルートはだいたいの感覚で書いております。
 
 
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 林小城の散策に戻ります。
 車を停めて獣除けのフェンスを過ぎるとまず現れるのがこの「地獄の釜」と呼ばれる湿地。 かつては城の水源でもあったかもしれないですね。
 
 この沼地は危険です。入ってはいけません  とわざわざ警告板も建てられるくらいですから底無し沼のような足元の悪い状態なんでしょう。
 
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 地獄の釜から谷筋を真っすぐ道が延びています
その脇に竪堀のような用水路の様な石組の遺構らしきものが並走しています。
 ちなみにこの辺りは日当たりも悪く湿っている関係で虫が大変多くじっとしているとあっという間に虫に刺されます。
 
 
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道は林小城のある山肌を這うようにして標高を上げていきます。
 
 
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 山道の途中で遭遇する圧巻の規模を誇る巨大竪堀。 このまなの勢いで山麓まで続いていそうです。
 
 
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林小城のある尾根筋に達すると、小郭群がお出迎え
 無数に構築されています。 堀は伴わなく切岸で小規模な平坦地造成したような具合ですかね。
 林大城の小郭団地と似ていますが、こっちの尾根は幅が広い為面積も少し広々しております。
 
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 Ⅱ郭手前の小郭が見えてきました。
ここは小郭団地と違って画像右側に虎口が明確に残っています。
ここからが林小城の中核部という事でしょうかね。
 
 
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 その虎口付近 画像奥が2郭。 ここで道が分岐しており恐らくは別方面の訪城ルートに繋がっていると思われます。
 
 
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Ⅱ郭にも石積遺構が一部残存しております。 やっとお目当ての石積み遺構に出会えました。
足元に大量の石があるので石積みの多くは既に崩落したのではないでしょうかね。
 
 
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 石積の拡大画像です。
土塁の上に石積を載せていたんですかね?
 
 
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 Ⅱ郭内部へもお邪魔することにします。 虎口から本郭方面を撮影。
虎口も石積みで固められていた様子。
 画像奥が本郭石積みになります。
 
 
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 Ⅱ郭から主郭(Ⅰ郭)の石積みを撮影。

石積み遺構ならば大城よりも小城の方が遥かに良く残されています。
 
 
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 石積みをアップで撮影。
お気に入りの石積みなのでアップ画像も多めになります・・・
 
 
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 主郭左手の石積みは崩落が激しく進んでおります。
 
 
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 更に接近して撮影。
 
 
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 主郭左手奥に主郭の虎口があります。
 
 
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林小城の主郭内部の様子です。 林大城の主郭よりはずっとコンパクト。
4方を石積みで補強した土塁を巡らし、尾根上(画像奥)方面のみをひと際高い土塁を構築しております。
 この造りは以前訪問した山家城の主郭部とよく似た構造。
同じ小笠原氏の築いた城なのでそっくりなのは当然と言えばそれまでですが。
 
 
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低い石積み遺構が郭内部に残されています。
 
 
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 主郭背後を守る大堀切を主郭土塁線上から撮影。
縄張り図では堀切より背後は城の外側という事になるようです。
山の山頂側になる為、主郭より標高が高い緩斜面となっております。
 画像には写っていませんがこの時、左奥で鹿が斜面を駆け上っているのが見えました。
 
 
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 緩斜面も気になり暫く登ることにしました。
妙に幅の広い空間なんですね、ここも城の一部として利用されていたんじゃないですかね?
 
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 緩斜面を進むと、尾根脇に石積み遺構らき造作物が残されておりました。
戻って縄張り図と照らし合わせると、どうも縄張りの最も下 城外に1本ある竪堀の末端部に築かれた石積みのように思えます。
 
 
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 主郭部まで戻り 見落としていた主郭右側の石積み遺構を撮影。
近世城郭の整った石垣もいいですが、個人的にはこういった素朴な石積み遺構の方が好みなんですね。
 
 
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 縄張り図の A  付近にある連続竪堀。 畝状竪堀群というようですが写真だと余り良く判らないですよね。
 実際にはかなり明瞭に残っております。
遺構の風化が他の城郭よりも遅いんですかね? 標高が高いから落ち葉が少ないとか・・理由は不明ですが 土の造作物の残り具合が非常に良いです。
 
 
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正面に移動して改めて撮影。
どうですか? 
 
 
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 更に判り易く・・ 斜面に洗濯板状の溝を設けています。
 
 
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 最後に、 麓まで戻って撮影。 正面の山並みは林大城になります。
 

林小城の評価は 5 とさせて下さい。
 
林「大城」 林「小城」 とありますが個人的にぐっと来たのは今回の林小城の方になります。
 大規模な石積み遺構の見事さ、巨大な竪堀や、明瞭に観察できる畝状竪堀等・・城域こそ林大城に譲りますが、城が本来持つ防禦力で言えばこの林小城の方が勝るのではないでしょうかね?
 それだけ見所の多い林小城ですが、当日は小雨ぱらつき本降りの雨が迫っている状況でして、余り時間を掛けて見て回れておりません。
 改めて訪問したい城郭です。